狼上司と秘密の関係
大和に言われるがまま逃げてきてしまったけれど、本当に良かったんだろうか。
今更ながら不安が押し寄せてくる。
あのまま死んだりとか、しないよね……?

大和の体調が悪かったのは事実だ。
それを放置してきてしまったことが気がかりだった。
せめて誰かに伝えてから逃げるべきだった?

でも、本人は誰にもバラされたくなさそうだったし。
考えれば考えるほど思考はまとまらない。

千明は大きく息を吐き出して車のエンジンをかけた。
そしてバックミラーに映った自分の顔を確認する。

ひどく青ざめていて、唇まで青い。
千明はそんな自分の唇を指先でそっとなでたのだった。
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