狼上司と秘密の関係
☆☆☆

仕事を終えてスマホを確認しても、大和からの連絡は入っていなかった。
もしかしたら会えるようになったかもしれないと期待していたので、ガッカリしてしまう。
それでも元々会う予定ではなかったのだしと、どうにか自分を励まして帰路についた。

「ただいまぁ」
誰もいないひとりのアパートの一室。

ここに帰ってくるのは慣れたものだけれど、今日はやっぱり寂しさを感じてしまう。
そうだ、梨江でも呼んで見ようかな。

部屋に入る前で立ち止まり、スマホを取り出して梨江に電話を入れる。
けれどなかなか出てくれない。

何度か掛け直してみたけれど結果は同じだった。
もしかしたら晋也と一緒にいるのかもしれない。

そうだとすればこれ以上電話をするわけにはいかなかった。
仕方なく1人で玄関を開けて暗い部屋に一歩足を踏み入れた……その瞬間だった。
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