狼上司と秘密の関係
☆☆☆

アパートに戻って一番安心するベッドに潜り込んでも、千明の心臓はまだ高鳴っていた。
何度も自分の唇に指を這わせて確認する。
あのときは突然だったけれど今でも鮮明に思い出すことができる。

大和の柔らかくて温かい唇の感触。
それだけで胸の奥がギューッと締め付けられて、体の芯から熱くなっていく。

「嫌じゃ……なかった」
ポツリと呟いたのが恥ずかしくて、千明は布団を頭までかぶってキツク目を閉じたのだった。
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