狼上司と秘密の関係
☆☆☆

しばらくそのままの姿勢で眠ってしまったようで、肌寒さで目を覚ました。
服も着替えていないし晩ごはんも食べていない。

いくらなんでもだらしなさすぎる自分自身に苦笑いを浮かべてお風呂のお湯をためはじめた。
その間に冷凍うどんを茹でる。

帰宅してから2時間も経っているから、さすがにお腹もペコペコだ。
うどんを茹でている間にネギを刻んで卵も用意した。
熱々のできたてうどんに卵を落とせば完成だ。

なんとなくテレビをつけてお笑い番組へ視線を向けながら夕食を食べる。
ちょうど二人組のお笑い芸人が出てきて、満月の夜に狼になってしまう狼男をネタにしていた。
「そういえばあの夜も満月だっけ」

ふと思い出したのは大和とキスをした夜のことだった。
あの日は雲も出ていなくて満月の光で周囲がとても明るかったはずだ。
と、そのとき。

お笑い芸人が『うぉぉぉ!』と声を上げ始めた。
狼男が狼に変身しようとしているシーンだ。
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