狼上司と秘密の関係
晋也が自身なさそうに眉を寄せる。
「時間が経てば忘れるとしても、それは個人差があるでしょ。何年も引きずったら千明がかわいそうだよ」

梨江は的確な指摘をしてくる。
「そっかぁ。社内恋愛って憧れるけど、結構難しいもんなんだなぁ」

晋也は本気で考え込んでしまった。
さっきからお弁当も手つかずだ。
「え、社内恋愛憧れてるの?」

晋也の言葉に反応したのは梨江だ。
「そりゃ少しはあるよ。俺彼女いないし」

「そっかぁ……」
梨江がなにか考えるように空を見上げる。
つられて千明も空を見上げた。

今日はくもり空で、今にも雨が降り出してしまいそうだ。
午後からのアイスクリーム作り体験は室内でやるほうがいいかもしれない。

「告白してスッキリする……かぁ……」
千明はぽつりと呟いたのだった。

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