狼上司と秘密の関係
「いいけど、車で来てないの?」
「今日はちょっと……」
なにがあったのかはさすがに言えない。

大和が自分は狼男だと言い出したなんて言えば、きっと梨江は激怒するだろう。
そのまま大和に食って掛かる可能性だってある。
あの言い訳は千明だって許せるものじゃなかった。

「そっか。じゃあ行こうか」
梨江が先に立って更衣室へ向かい始めたその時だった。
「菊池さん、どうしたんですか!?」

と、焦っている晋也の声が聞こえてきてふたりは足を止めた。
目を見交わせてから事務所へと向かう。

そこには床にうずくまっている大和の姿と、その横でオロオロしている晋也の姿があった。
それを見た瞬間、千明はあの夜のことを思い出した。
あの時とまるで同じような苦しみ方だ。

「菊池さん、大丈夫ですか?」
千明はすぐに駆け寄って大和の横に膝をついた。
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