狼上司と秘密の関係
それを無視して仕事を続けていると大和が準備室に入ってきた。
テーブルの上に置かれている材料をいちいち点検しに来たみたいだ。
「そんなに心配しなくても賞味期限が切れたりしてないですよ?」

晋也に言われて大和は頭をかく。
「わかってるんだけど、一応目視で確認しておいたほうがいいと思って」
1度クレームが入ってからかなり慎重になっている様子だ。

そのクレームだって結局は子供が嘘をついたことが原因だったのに、丁寧すぎるほど丁寧に仕事をしている。
「うん。大丈夫そうかな」
一通り目視で材料を確認してホッと息を吐き出す。

どうやら特に問題ないと判断したみたいだ。
「じゃ、後はよろしくね」
大和が千明の肩をポンッと叩いて部屋を出ていく。

その瞬間を梨江が見逃すはずがない。
目元をピクリと動かしてニヤついた笑みを浮かべたのだった。
< 91 / 209 >

この作品をシェア

pagetop