狼上司と秘密の関係
☆☆☆

大和と付き合うことができたのは同僚のふたりのお陰だといってもいい。
きっと、千明ひとりでは告白する前から諦めていたと思う。
だけど好奇心むき出しの目を向けられながらやる仕事はやりづらかった。

《今日は疲れてたみたいだけど、平気だった?》
大和からそんなメッセージが来たのはアパートに戻ってきてからのことだった。
目に見えて疲弊していたみたいだ。
《大丈夫です。ちょっと疲れただけだし、明日は休みなので》

そう返事をしてから自分が敬語を使っていることを思い出した。
1年以上上司と部下という関係を続けてきたので、今更呼び捨てにしたり敬語を直したりするのは難しい。
体に染み付いてしまっている。

着替えをしていると更にメッセージが届いていた。
《明日だけど、時間ある?》
その文章に一瞬心臓がドクンッと高鳴る。

なんだか妙な期待をしてしまっている自分に気がついて苦笑を漏らした。
《はい、ありますよ》

《遊園地のチケットがあるんだけど、行かない?》
デートの誘いだ!
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