君の隣は誰にも譲れない
「稚奈」
「はい」
「京介君を覚えているか?」
「はい、もちろん。私はあれ以降会えなかったけど、来てたの?」
「ああ。彼はね、電話が多いんだ。あのときは僕を心配して珍しく来てくれたんだよ。でも稚奈にあの時紹介して良かった」
「京介さんって何をしている人なの?すごいイケメンだし、なんというか、雰囲気が普通の人とは違う……」
「彼は私の教え子だと言っただろ?今彼がどういう仕事についているか教えていなかったな」
「だって、京介さんも教えてくれないし、お父さんも教えてくれなかったでしょ。でも車の迎えを待っていたくらいだから、そういう身分の人でしょ?」
「そうだな、ただうちに来るときは必ず隠れるようにしてひとりで来ていた。彼がうちを気遣ってくれているからだ。だが、それももう終わりかもしれない」