君の隣は誰にも譲れない

「え？」

「覚えておきなさい。何かあれば彼がきっと助けてくれるはずだ。もし、彼が来なかったら、稚奈はここから逃げてもいい。うちの会社に固執する必要はない。株も譲渡するが、念のためだ」

「お父さんどういう意味？京介さんは一体……？」

「彼の母親は私の幼馴染みだったんだ。お前の母はその幼馴染みと私の仲を誤解して出て行ったんだ。あの頃、説明しなくて悪かったな」

「……どういうことなの？」

「お前がまだ小さい頃、京介君と栞をかくまっていたことがあるんだ」

「かくまう？」

「私の死後会社に何かあったら、無理に会社を続けようとしなくていい。難しいことからは逃げなさい。他の会社へ転職して構わない。室長には……話してある」