君の隣は誰にも譲れない
「京介君が引き取られる二週間前……彼を奪われたくなかった栞はうちへ逃げてきた。だが、私にとって妹のような存在の栞を、お前の母は昔から目の敵にしていたから……勘違いしたんだ。京介君を私の子だと思っていた」
そうか、かくまっていたから色々ごまかしていたんだね。
「だから、京介さんが何かあれば助けてくれるの?」
「そうだな。でも、今の彼の立場は微妙でね。うちのために無理をするなと言ってある」
「京介さんが御曹司……やっぱりそうだったんだね。いつも身なりがいいし、おかしいなとは思っていた。京介さんは私が小さいときのことをそれで知っていたのね」
「……ああ、そうだ。お前は彼が大好きでね。ヨチヨチしながら彼の服を握っていた。彼は小学校二年生くらいだった。お前と六歳違いだったんだ。お前をとても可愛がってくれたんだ。お前の母はそれを見るのが辛かったようだった」
「そう。そういうことだったのね。お母さんには本当のこと話したの?」