君の隣は誰にも譲れない

「初めまして。本郷稚奈です」

「いや、稚奈ちゃん綺麗だよ。これは驚いた。普段仕事柄あまり化粧してなかったから知らなかったよ。君のお母さんの若い頃によく似ているね」

 叔父が私を見て満足げに話した。

「……」

「そうね。久子さんも見たらきっと驚くでしょうね。まあ、結婚するときくらい呼んでもいいんじゃない?」

 叔母も頷きながら言う。

 私はホテルのボーイに椅子を引かれたので、ゆっくり腰を下ろした。目の前の見合い写真の人が話し出した。

「初めまして。僕が相互茂。高藤化学の社長は隣の父だ。君の会社を父経由でうちの傘下へ入れる話になっている。君のことは以前会社で見かけていてね。その時に、とても透明感のある人だと思ったが今日は驚いた。想像以上だった」

「ありがとうございます。お聞きしたいんですが、うちの会社を傘下に入れて下さるとは具体的にどういうことですか?うちの会社の株は叔父が20パーセント、私も25パーセント、あと15パーセントを他の株主が持っているはずです」
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