君の隣は誰にも譲れない
「本郷ファーマシーの残りの五パーセントの株はこちらの高藤京介氏がお持ちです」
「「は?」」
「この株は生前の先生から大分前にもらっていたものです。何かあったときのためにね。僕が力になれることがあるかもしれない。さすが先生だ」
「ふざけるな!京介君、勝手なことをして総帥に知られたらどうなるかわかっているのか?」
「僕はここに高藤財閥の後継者としてきているわけではないんですよ。僕にも少しだけですが個人資産がありましてね。彼女の株と僕の株でこの会社を不当な買収から守って、いくらか出資して研究を支えていきたいと思います」
「京介さん、それは……」
京介さんは私を見てウインクした。すごい威力。びっくりだ。弁護士が蕩々と言う。
「ホワイトナイトとして乗り込んでもいいんです。おそらく本郷さんは京介さんに付くでしょうからね。ただ、まあ事を荒げると高藤グループにも良くないですね。まるで内紛だ」