君の隣は誰にも譲れない
私が小さい声で言うと、弁護士が言った。
「まあ、京介氏の個人資産を使ってこちらを援助するにしても、総帥を納得させるには難しいでしょう。本郷さんが重要な鍵を握っていることは確かですね。あなたはお父上の相続で色々武器をお持ちだ」
「稚奈さん。僕とすぐに婚約できなかったら、試しに結婚前提でお付き合いしてみませんか?僕は最初から婚約でも構わないんだけどね……まあ、父や親戚もうるさいから、それを懐柔する時間をもらおうかな」
「……京介さん、それって……会社や私を助けるために、京介さんの一生を……ダメです!」
「うるさい!お前達勝手に何を言っているんだ」
相互社長が真っ赤になって怒りだした。
「今日はここまでだ、京介君。父上に連絡させてもらうよ。クビを洗って待っているんだな」
「それはご忠告ありがとうございます」