君の隣は誰にも譲れない

背景


「稚奈さん、それにしても綺麗だね。前から可愛いと思っていたが、これは本当に危ないところだった」

 彼は私を立たせると上から下に見つめた。

「京介さん。助けて下さってありがとう。財閥の御曹司だったなんて、知らなくて……お父さんに亡くなる直前教えられたんです」

「なんて?」

「いつか京介さんが何かあれば助けに来るかもしれない。でも、来なかったら逃げなさい。それと京介さんも無理しないように言ってあると」

「さすが先生。そのほかには?僕との出会いとか聞いている?」

「……あの、私が小さい頃お母様と一緒にしばらくうちでかくまっていたということ、それから、それが……母との離婚原因だったこと」

 京介さんは顔を曇らせた。
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