君の隣は誰にも譲れない

「京介様、それはないですよ、感謝していたくせに。初めまして、本郷様。柴田と申します。今後ともよろしくお願いします」

 深々と挨拶される。

「あ、こ、こちらこそあの、よろしくお願いします」

「ぼっちゃん。良かったですね」

「は?まあな、これからだ。父さんにアポは取ったか?」

「榊様にご連絡しましたら、すでに相互親子が突撃されたようで、困っておられましたよ。あ、本郷様、榊様とは旦那様の秘書兼執事の方です」

「稚奈さん。とりあえず、このまま本邸に行ける?」

 するとお腹が鳴ってしまった。恥ずかしい。朝から何も食べていないのだ。叔母に連れ回されて、ようやく食べる段になってこの有様だ。
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