君の隣は誰にも譲れない
「お腹すいたね、気が利かなくてごめん。柴田、食事運ばせて。食べてから行く。どうせ、相互親子がいなくなるまで時間がかかるだろ」
そう言って、元来た部屋へ戻って、美味しいフレンチを頂いたのだった。
「稚奈さん、食べながら聞いて……」
「はい」
彼はコースの後、デザートは食べずにコーヒーを飲んでいる。私はケーキセットが出て、ケーキを食べていた。
「父は、僕が君を助けたがっているのを前から知っている。君達親子については父はずっと調査していたから、何もかもわかっていたはずだよ」
「……はい」
「僕はね、この身分になって政略結婚なんてまっぴらごめんなんだよ。父だって自分がそれで母を欲したのをわかっているから強くは言ってこなかった」