君の隣は誰にも譲れない

「申し訳ないが、僕は忙しい。君と会う時間を作るにはそれしかない。心配ないよ。毎日、君を会社に柴田が送り迎えする。家事もしなくていい」

「柴田さんは京介さんの執事でしょ?だめですよ」

「だから、それも心配無用。柴田程度の奴は他にもいる」

「……ひどい。柴田さんが可哀想」

「同居してくれなかったら僕はもっと可哀想だぞ。稚奈さんに全然会えなくて毎日泣くんだ……こうやって」

 ジェスチャーで泣きまねしている。おかしくて声を出して笑ってしまった。彼が私を嬉しそうに見た。

「……可愛いな。絶対同居する。いいよね?」

 とりあえず、会社が落ち着くまでは彼に従うしかない。

「わかりました」
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