君の隣は誰にも譲れない
「私、そちらの被害者なので、ひとつだけ望みを叶えてもらえませんか?試しにしばらくの間、京介さんとお付き合いするのをお許し頂きたいのです」
ふたりは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして固まった。京介さんが驚いている。そして……総帥は笑い出した。
「……稚奈さん、君っ!」
「わはは、京介これは一本取られたぞ。彼女の方が主導権を握っておるようだ」
「どうでしょうか?でも、お付き合いが続くかはわかりません。私の知る京介さんは父の教え子で、常に紳士でイケメンだったということくらい。あと、お金持ちだということくらいです。父子家庭だった私と続くかどうかは試しに同棲でもしてみないとわかりません」
「……」
あっけにとられた顔をして京介さんは私を見ている。そして睨んだ。
「稚奈さん、話が違うよ」