君の隣は誰にも譲れない
「どんな話だったんだ?」
総帥が笑っている。京介さんごめんなさい。でもこれでいい。総帥が私に興味を持った。成功だ。それから本心を言えばいい。
「そうですね、それはまあ京介さんに聞いて下さい。それで、総帥お許し頂けますか?」
「君は面白いな。これは息子の嫁候補としては悪くない。頭がいい。しかも、自慢の息子を出し抜くほどだ。ただ、良すぎると面倒なんでね、こちらも観察する時間が欲しい」
「……父さん!」
「京介。償いをしろとそこのお嬢さんが言うからしょうがない。お前のしたいようにするがいいさ。せいぜい、彼女に逃げられないよう頑張るんだな。いつまでもつか楽しみだ」
そして半年の猶予をもらった。帰り際、無口だった彼に引っ張られ、ぎゅうっと痛くなるほど抱きしめられた。
「このくらい、許してよ。まさか、君にここまでされるとは思わなかった」