君の隣は誰にも譲れない
「それに……そろそろ僕も稚奈さんへアタックを開始しますから。今まで研究が忙しくてそれどころじゃなくて……」
私は苦笑い。それどころって、あのねえ。いいけどね、研究の次でも。私もそうだからさ。人のことは言えない。
「あれ?全然驚いてくれない。もしかして、気づいてましたか?」
「そうね、沢田君は冗談だか、本気かわからない程度には私に好意を示してくれていたからね」
ガチャッと音がして、白衣を着た祐子さんが入ってきた。彼女は現室長。父の右腕だった人。
「沢田。まだ仕事中よ。本気なら、もう少し雰囲気のいいところで告白なさいよ。女として、こんなところの告白なんてビビッとこないわよ」
「……せめて、ノックして入って下さいよ。わかっているのに、最低だな、室長」
「御曹司と戦う覚悟があるなら、私なんて気にしてるようじゃあ、無理ね」
「そんなことありませんよ、気にしてません。僕は本気です」