君の隣は誰にも譲れない

 沢田君が立ち上がってフラスコを持ったまま宣言した。

「ああ、危ないわよ、沢田君。落ち着いて……私ちゃんと聞いてるからね」

「……ああー、なんかもう、その言い方がすでに……ショックだな、もう」

「沢田。この研究が認められて商品化にめどが付いたら、きっと稚奈もあなたを眼中にいれるわよー」

 室長。煽ってる。信じらんない。私を利用してるとしか思えない。

「沢田君。気にしないでいいから。頑張ろうね」

「タダの同僚にかける言葉じゃないですか、それ。僕の決意に返事してください」

「あ、えっとね……」

 パンパンと手を叩いた祐子さんは周りを見て言った。

「さあ、大詰めよ。気を緩めないで頑張りましょう」

 すると私の側に来た祐子さんが言う。
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