君の隣は誰にも譲れない
「今は京介さんが叔父の代わりに財閥の人を派遣してくれると言ってくれています。経理関係や経営に明るい人らしくて、今よりも経費もかからないやり方ができるそうです」
「なるほどね。まあ、そのほうがいいよね」
「そうですね」
「それで?稚奈はどうするつもりなの?」
そうだよね、聞かれると思った。だって、何も決まってないんだもの。形ばかりの同棲生活。
だって、彼は本当に忙しい。
海外出張なんてしょっちゅう。日本中をプライベートジェットであっちこっち移動していて、さっきまで九州だっただの、北海道にいただの、このあいだなんて韓国に午前中いたんだとか訳わからない。
まあ、要するに顔を合わせて話す時間が本当に少ないのだ。最初のひと月は、帰ってくると寝ぼけ眼で充電と言って抱きついてきて、首元で寝ていたり、いやはや信じられない生活だった。