君の隣は誰にも譲れない
「私が身を引く引かないより、おそらく京介さんが自分で判断するでしょう。私が必要なければ捨てると思います。ご心配には及びません」
「あなた、変な人ね。それに京介さんのこと……特に好きじゃなさそうね」
「好きじゃないなら、一緒にいませんよ」
「なら、何?好きだなんて嘘だわ。好きだったらそんな風に冷めたもの言いはできないもの。あなた、そのうち捨てられるわね」
彼女は紅茶を飲み干すと、フンと言いながら立ち去った。支払いは私なの?お嬢様はこれだから、困る。
店を出たところで腕を急に引っ張られた。びっくりして振り返ると焦った顔をして彼が立っていた。
「稚奈、どうした。柴田から到着の連絡が来てから大分経つ。何かあったんじゃないよな?」
「あ、いえ、ちょっと。もうお帰りだったんですね。すみません、何も夕飯準備できてなくて」
「稚奈。君は家政婦じゃない」