君の隣は誰にも譲れない

雪解け


「え?そんな専門用語までご存じなんですか?」

 研究が一段落し、彼の仕事も落ち着いたので、研究内容を彼に説明する場がもうけられた。うちの研究発表に使う部屋へ彼を招いて、沢田君が説明したのだが……。

「どういうことなんですか?もしかして、化学を勉強してこられたんですか?」

 沢田君が噛みついた。投影した内容をすぐに理解した京介さんは細かいことを質問してきた。実は昨日のうちに資料を渡してあったのだが、私は何も質問されていない。

 一晩でここまで理解したってどういうことなの?

「京介君。高校時代から神童だったけど、今も化学雑誌読んで勉強しているって話、嘘じゃなかったんだね」

「「ええ!?」」

 沢田君と私は驚いた。祐子さんは京介さんを見ながら言った。

「まあ、適当に見る程度ですけど、元々好きだったのはご存じですよね」
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