君の隣は誰にも譲れない

 沢田君は出て行ってしまった。

「あ、沢田君!」

 追いかけようとした私をじろりと睨んだのは彼。

「聞き捨てならないことを聞いたような気がしますけど。祐子さん、彼は誰を諦めたんです?というか、それってもしや……」

「まあ、いいじゃないの、京介君。稚奈と最後まで出来たんでしょ?」

「ちょ、ちょっと祐子さん、やめてください……」

 まだ、周りに人がいるのに、何を話しているのよ。みんな、こちらを見て笑ってる。最低だわ。

「もちろんですよ。稚奈は俺のものになりました」

「そう。なら、この会社も稚奈と同じくらい大切にしてよね。頼むわよ」

「ええ。それには条件が……。祐子さん、副社長になって下さい」

「は?」
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