君の隣は誰にも譲れない

「そうでしょ、父さん。俺、見る眼あるよな。彼女が小さい頃から目を付けていたんだ」

「稚奈さん。こいつはストーカーまがいだぞ。気をつけろよ」

「ええ。そのようですね、ふふふ」

「稚奈。何だよ、その言い方」

 彼は私を引っ張り寄せた。私は彼の腕に手を重ねた。

「総帥」

「父と呼んでくれていいよ、稚奈さん」

 優しい目でこちらを見た。

「お父様。私が研究に熱中して、財閥の妻としての役割を放棄するのかと、彼の伯母様に指摘されました」

「なるほど」
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