君の隣は誰にも譲れない
「ああ、稚奈のお陰だ。父との関係も君のお陰で変わってきた」
「確かにそうだな。君の最初の言葉は忘れないよ。私は被害者ですから、お付き合いさせてください、だった。私達は君に償いはできたかな、稚奈さん」
「はい。これからは私がお返ししていく番です、お父様」
「ああ、楽しみにしているよ」
京介さんはそんな私を胸の中へ抱き寄せた。お父様は目の毒だからそういうことは二人の時にやれと言って、部屋を出て行った。
私達は父の一周忌が空けてすぐに結婚式を盛大にあげた。
高藤財閥は本郷ファーマシーの大きな貢献で新しい利益を独占した。父が栞さんに手を差し伸べたことで、母とは離婚したが、私は彼という大きな縁を手にした。