君の隣は誰にも譲れない

会社の現状

 
 あれから半年。
 突然だった。父は亡くなった。私にとって早すぎる死だった。

 今思えばおそらく父は病魔を認識していたのだろう。彼が来た頃から急いで研究を進めていた。焦っているように見えた。身体に良くないからやめてと言っても、連日泊まり込む状態で、私は父が心配だった。

 やはり、あっという間に身体を悪くして入院し、三ヶ月後にはみまかった。私はとうとう、ひとりになってしまった。

 研究室のメンバーは家族同然で落ち込む私のことを本当に心配してくれた。

「稚奈。食べてる?」

 研究室長の祐子さん。父の大学教授時代からの部下で同僚だった人。彼女は泊まり込んで私をケアしてくれた。そのお陰で何とかやっている。

「はい。ちゃんと食べてます。元々食いしん坊なのは知ってるでしょ?食べてなかったら頭回らないから」

「そうその通りよ。研究は休めない。どんなときもね」
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