水槽の人魚は、13年越しの愛に溺れる
「海里のレアな笑顔が見れて、私はすごく嬉しいよ!」
「……俺の笑顔を喜んでくれる真央が、腕の腕にいるなど……夢のようだ……。今なら、死んでもいい…」
「おい。オレ達がなんのために集まったと思ってんだ」
「海里くんは、真央ちゃんと笑い合っていなきゃ駄目だよ」
一番最初に笑ったのは、誰だったか。かつての仲間たちは瞳に涙を浮かべる程笑い合った。
まるで12年前に戻ったかのように。
この空間だけが、和気あいあいと、和やかな空気で──海里は居づらくなったのだろうか。
真央から身体を離すと、踵を返して出入り口のドアを目指す。
「……海里?」
この空間から一歩、一人で外に出たとしても。海里に待ち受けているのは、地獄の日々だ。
一人では到底返済しきれない借金を抱える海里は、真央がいるからどうにか里海水族館の館長として生き続けている。
真央が居なくなれば、海里はこの世界で生きていくことなどできずに──水槽の中で、溺れ死ぬことを選ぶだろう。
「海里、もう少しだよ」
海里はドアノブに手を掛けたが、ドアノブを捻ってドアを開け、外に出ようとすることはなかった。
ドアノブを握る海里の手は、震えている。
真央は海里の背中へ、安心させるように優しい声音で声を掛けた。
「……真央……」
「碧さん達が来てくれるんだもん。あと半年なんて言わずに、数ヶ月で達成しちゃうかもしれない!」
「……ああ……」
「頑張ろうね、海里」
真央は海里が真央のそばから離れていかないように、海里の背中に抱きついた。
その言葉が海里の負担になっていることを、気づきもせずに──。
「……俺の笑顔を喜んでくれる真央が、腕の腕にいるなど……夢のようだ……。今なら、死んでもいい…」
「おい。オレ達がなんのために集まったと思ってんだ」
「海里くんは、真央ちゃんと笑い合っていなきゃ駄目だよ」
一番最初に笑ったのは、誰だったか。かつての仲間たちは瞳に涙を浮かべる程笑い合った。
まるで12年前に戻ったかのように。
この空間だけが、和気あいあいと、和やかな空気で──海里は居づらくなったのだろうか。
真央から身体を離すと、踵を返して出入り口のドアを目指す。
「……海里?」
この空間から一歩、一人で外に出たとしても。海里に待ち受けているのは、地獄の日々だ。
一人では到底返済しきれない借金を抱える海里は、真央がいるからどうにか里海水族館の館長として生き続けている。
真央が居なくなれば、海里はこの世界で生きていくことなどできずに──水槽の中で、溺れ死ぬことを選ぶだろう。
「海里、もう少しだよ」
海里はドアノブに手を掛けたが、ドアノブを捻ってドアを開け、外に出ようとすることはなかった。
ドアノブを握る海里の手は、震えている。
真央は海里の背中へ、安心させるように優しい声音で声を掛けた。
「……真央……」
「碧さん達が来てくれるんだもん。あと半年なんて言わずに、数ヶ月で達成しちゃうかもしれない!」
「……ああ……」
「頑張ろうね、海里」
真央は海里が真央のそばから離れていかないように、海里の背中に抱きついた。
その言葉が海里の負担になっていることを、気づきもせずに──。