水槽の人魚は、13年越しの愛に溺れる
「ご魅惑をお掛けして……」

「ああ、そういうのいいから」

「館長さんの役目は、真央を幸せにすることよ!それさえクリアしてくれたら、文句など言わないわ」

「お姉ちゃんを……これからもよろしくお願い致します……」

 仲間たちから真央をよろしくと頼まれた海里は、真央を抱きしめて優しく微笑んだ。

「はい。真央は俺が一生をかけて、幸せにすると誓います」

「結婚式かよ」

「ラブラブね〜」

 海里の宣言に仲間たちは囃し立て、いつの間にか誰かが持ち出してきたアルコールを真っ昼間から飲む羽目になり、どんちゃん騒ぎの大騒ぎになった。

「海里、楽しかったね」

「あぁ……」

 水着を着てきたが、海を二人で泳げなくても。海里や仲間たちと最高な休日の過ごし方をした真央は、海里の肩に頭を乗せる。

「これからもたくさん、思い出を作っていこうね」

「……そうだな。離れていた分の時間を、少しでも取り戻せるように……」

 真央と海里は、二人で思いを通じあわせている限り、水槽の中で溺れ、死を選ぶことはない。

「真央、愛してる」

「私も!海里のこと、愛してる!」

 自室のベッドで抱き合った二人は、シーツの海に溺れた──。


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