水槽の人魚は、13年越しの愛に溺れる
(妹のことも、大切だから。興味ないの一言で片付けるのは、わがままなのかな……)



 真央はしゅん、と肩を落としながら海里の横顔を見つめた。

 真央と身体を繋げてから、海里は人間らしい仕草を見せるようにはなってきたが、やはりまだ本調子ではないだろう。

 ぼんやりと、無気力に日々を過ごしている。海里の人間らしい仕草を引き出すには、やはり真央が人魚として、彼の前に姿を見せるしかないのだろう。



(海里が人間らしい生活を送れるように。私が頑張らなくちゃ)



 人間姿の真央と通話できるようになったこと。

 紫京院がいない場所でなら、巨大水槽から一歩外に出ることができるようになったことは、大きな進歩だろう。それでもまだ、足りない。

 真央は海里の明るい笑顔を取り戻す為に、これからも頑張ろうと疲れた身体に鞭を売って立ち上がった。

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