もう少しで死ぬ俺を癒してくれた君
その日の夜、懐かしい夢を見た。幼稚園の時の幼い記憶。物心があったのかなかったのかわからないくらいの時の記憶。あれは本当の出来事だったのか、夢なのか...それもわからないくらい記憶にない。
でも...無邪気でいれたあの頃の自分。それは俺の宝物。
(ああ……なんで今こんな夢を見るんだろ?)
なんだか不思議な気持ちだった。
「ねぇ、この絵本読んで!」
「うん!いいですよ。」
幼い頃の俺は、先生に絵本を読んでいた。
「むかーし、むかしあるところに……」
俺はその絵本が大好きだった。いつもその絵本を先生に読んでもらっていた。
「ねぇ……何だかこのおおかみしゃんかわいそう…」
「そうね、でもおおかみさんは、大切な人をまもろうとしたんだよ。」
「たいせつ?」
「そう……その人はとても大切な存在なんだよ。だから守る為に戦ったのさ。」
(たいせつ?)幼い俺はまだその意味がよくわからなかったが、先生の話を聞いて何となくわかったような気がした。そして絵本を読み終わった後、先生は俺の頭を撫でながら笑顔で言ったのだ。
「君は優しい子だね……」と……
そこで俺は目を覚ました。今、俺の頭の中はボーっとして何も考えられない状態になっていた。
「あれ……俺なんであんな夢見てたんだろ………)
俺は、ベッドから起き上がると病室の外を眺めた。外はもう朝の太陽があった。
(ああ……今何時なんだろ?)
時計を見ると針は8時を指していた。
(もうこんな時間か……)
すると、コンコンッとドアをノックする音が聞こえたので返事をすると看護師さんが入ってきた。そして俺に言ったのだ。
「そろそろお薬を投与します。いいですか?」
「あ、はい……いいですよ」
(ああ……俺はこのまま死んでしまうんだろうか?ずっとこの病気と闘って……でもそれも悪くないかな)と思いながら俺はベッドに寝転んだのだった。
(しかしなんだか……虚しいな……)
俺のどこかにぽっかりと穴があいているような感じがした。
(起きて、薬投与して、寝て、起きて、また薬を投与して……ただその繰り返し……)
「あ、また俺泣いてる……」
俺は目を擦った。涙はもう枯れ果てたと思っていたのにまた流れ出したのだった。
(ああ……早く死にたい……でも死にたくない……)
俺は相反する二つの感情に挟まれていた。死にたいけど死ぬのは怖い、そんな矛盾した気持ちを抱えながら生き続けていた。
(ああ……なんで俺がこんな目に合わないといけないんだ?)
俺はそう思いながら涙を流していた。
(ねぇ……俺、どこが間違っていたの?教えてよ……誰か……)
するとコンコンっと音がして扉が開くとそこには中本さんの姿があった。
「ヤッピー!!」
中本さんは笑顔で手を振りながら病室に入ってきた。
(…………)
「あれ?どうしたの?」
中本さんは不思議そうに俺の顔を覗き込んだ。何でこんなに気楽でいられるのだろう?この人は……
(あ~もう今日はこのまま寝てしまおう……)
「ちょ、ちょっと!?なんで無視するの!」
俺は布団を被ろうとした時、中本さんが俺を引き剥がした。それに抵抗しようとしたが体が重く立ち上がれない。
(ああ……もういいや、このまま寝るか……)
「むぅ~!何で寝ようとするの!?」
俺が再び夢の世界に行こうとしていた所を彼女が邪魔をしてきたので思わず声を荒げてしまった。
「ああもう!うるさいな!!」
(あ……やべ……)
俺はすぐ我にかえり、ハッとなったが時すでに遅し……中本さんは一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに不機嫌な顔になりそして悲しそうに言った。
「ご、ごめんね……うるさかった?」
(しまった!!やってしまった!!!)
「いや!あの!その……ごめん……大きな声出して……」
俺は慌てて彼女に謝った。すると中本さんは微笑んで言った。
「いいよ別に気にしてないから……でもやっぱり嫌われちゃったかな?」
(ああ……やっちゃったよ俺……)
「そ、その!嫌ってなんかいないよ!!」と俺は焦りながら言った。そして続けてこう言った。
「あの、本当にごめん!」
すると中本さんはクスクスっと笑った後、真剣な面持ちで俺に言ってきたのだ。
「彷徨君って、本当に優しいね。」
「え?」
俺は驚いてしまった。そんな事言われたのは初めてだったからだ。
「だって私、彷徨君に嫌われたと思って落ち込んでいたのにそれでも慰めてくれるなんて……やっぱり優しいよ」
(ああ……そうか、中本さんってこうやって俺と関わってくれた人なんだ)と俺がしみじみと思っていると中本さんの様子が少しおかしい事に気がついた。
(どうしたんだろ?)
それから彼女が口を開いたのだ。
「そ、そのさっきはごめんね……私、もう帰るね……またね」と中本さんはそう言って病室から出ようとした。俺は慌てて彼女を引き留めた。
「ま、待って!」
中本さんは立ち止まってくれたのでホッとする俺であったが次の瞬間、彼女はこちらを向き俺の口にキスをしたのだ。
「!?!?」
俺は一瞬何が起こったのかわからなかったがすぐに理解することが出来た。そして彼女は俺に言ったのだった。
「えへへ///」
(……へ?何したの今……?(混乱))
急なことに俺は目を回していた。すると中本さんは人差し指を自分の唇に当てながら微笑みながら言った。
「秘密だよ♪」
そして彼女は病室から出て行った。俺は放心状態になりボーッとしていると、またドアが開く音がしたので見てみるとそこには中本さんがいた。
(え?帰ったんじゃ……?)
「あ、忘れ物しちゃった……」と言って中本さんは再び俺の前に現れたのだ。すると彼女は俺の耳元に顔を近づけてこう囁いたのだ。
「私のファーストキスなんだからね♥」と……
でも...無邪気でいれたあの頃の自分。それは俺の宝物。
(ああ……なんで今こんな夢を見るんだろ?)
なんだか不思議な気持ちだった。
「ねぇ、この絵本読んで!」
「うん!いいですよ。」
幼い頃の俺は、先生に絵本を読んでいた。
「むかーし、むかしあるところに……」
俺はその絵本が大好きだった。いつもその絵本を先生に読んでもらっていた。
「ねぇ……何だかこのおおかみしゃんかわいそう…」
「そうね、でもおおかみさんは、大切な人をまもろうとしたんだよ。」
「たいせつ?」
「そう……その人はとても大切な存在なんだよ。だから守る為に戦ったのさ。」
(たいせつ?)幼い俺はまだその意味がよくわからなかったが、先生の話を聞いて何となくわかったような気がした。そして絵本を読み終わった後、先生は俺の頭を撫でながら笑顔で言ったのだ。
「君は優しい子だね……」と……
そこで俺は目を覚ました。今、俺の頭の中はボーっとして何も考えられない状態になっていた。
「あれ……俺なんであんな夢見てたんだろ………)
俺は、ベッドから起き上がると病室の外を眺めた。外はもう朝の太陽があった。
(ああ……今何時なんだろ?)
時計を見ると針は8時を指していた。
(もうこんな時間か……)
すると、コンコンッとドアをノックする音が聞こえたので返事をすると看護師さんが入ってきた。そして俺に言ったのだ。
「そろそろお薬を投与します。いいですか?」
「あ、はい……いいですよ」
(ああ……俺はこのまま死んでしまうんだろうか?ずっとこの病気と闘って……でもそれも悪くないかな)と思いながら俺はベッドに寝転んだのだった。
(しかしなんだか……虚しいな……)
俺のどこかにぽっかりと穴があいているような感じがした。
(起きて、薬投与して、寝て、起きて、また薬を投与して……ただその繰り返し……)
「あ、また俺泣いてる……」
俺は目を擦った。涙はもう枯れ果てたと思っていたのにまた流れ出したのだった。
(ああ……早く死にたい……でも死にたくない……)
俺は相反する二つの感情に挟まれていた。死にたいけど死ぬのは怖い、そんな矛盾した気持ちを抱えながら生き続けていた。
(ああ……なんで俺がこんな目に合わないといけないんだ?)
俺はそう思いながら涙を流していた。
(ねぇ……俺、どこが間違っていたの?教えてよ……誰か……)
するとコンコンっと音がして扉が開くとそこには中本さんの姿があった。
「ヤッピー!!」
中本さんは笑顔で手を振りながら病室に入ってきた。
(…………)
「あれ?どうしたの?」
中本さんは不思議そうに俺の顔を覗き込んだ。何でこんなに気楽でいられるのだろう?この人は……
(あ~もう今日はこのまま寝てしまおう……)
「ちょ、ちょっと!?なんで無視するの!」
俺は布団を被ろうとした時、中本さんが俺を引き剥がした。それに抵抗しようとしたが体が重く立ち上がれない。
(ああ……もういいや、このまま寝るか……)
「むぅ~!何で寝ようとするの!?」
俺が再び夢の世界に行こうとしていた所を彼女が邪魔をしてきたので思わず声を荒げてしまった。
「ああもう!うるさいな!!」
(あ……やべ……)
俺はすぐ我にかえり、ハッとなったが時すでに遅し……中本さんは一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに不機嫌な顔になりそして悲しそうに言った。
「ご、ごめんね……うるさかった?」
(しまった!!やってしまった!!!)
「いや!あの!その……ごめん……大きな声出して……」
俺は慌てて彼女に謝った。すると中本さんは微笑んで言った。
「いいよ別に気にしてないから……でもやっぱり嫌われちゃったかな?」
(ああ……やっちゃったよ俺……)
「そ、その!嫌ってなんかいないよ!!」と俺は焦りながら言った。そして続けてこう言った。
「あの、本当にごめん!」
すると中本さんはクスクスっと笑った後、真剣な面持ちで俺に言ってきたのだ。
「彷徨君って、本当に優しいね。」
「え?」
俺は驚いてしまった。そんな事言われたのは初めてだったからだ。
「だって私、彷徨君に嫌われたと思って落ち込んでいたのにそれでも慰めてくれるなんて……やっぱり優しいよ」
(ああ……そうか、中本さんってこうやって俺と関わってくれた人なんだ)と俺がしみじみと思っていると中本さんの様子が少しおかしい事に気がついた。
(どうしたんだろ?)
それから彼女が口を開いたのだ。
「そ、そのさっきはごめんね……私、もう帰るね……またね」と中本さんはそう言って病室から出ようとした。俺は慌てて彼女を引き留めた。
「ま、待って!」
中本さんは立ち止まってくれたのでホッとする俺であったが次の瞬間、彼女はこちらを向き俺の口にキスをしたのだ。
「!?!?」
俺は一瞬何が起こったのかわからなかったがすぐに理解することが出来た。そして彼女は俺に言ったのだった。
「えへへ///」
(……へ?何したの今……?(混乱))
急なことに俺は目を回していた。すると中本さんは人差し指を自分の唇に当てながら微笑みながら言った。
「秘密だよ♪」
そして彼女は病室から出て行った。俺は放心状態になりボーッとしていると、またドアが開く音がしたので見てみるとそこには中本さんがいた。
(え?帰ったんじゃ……?)
「あ、忘れ物しちゃった……」と言って中本さんは再び俺の前に現れたのだ。すると彼女は俺の耳元に顔を近づけてこう囁いたのだ。
「私のファーストキスなんだからね♥」と……