【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
起動できたようで、端的に機器の説明を始める彼女。わかりやすく要領を捉えた説明は、彼女の頭の良さを表していた。

(この声、どこかで聞いたことがあるような)

 妙に胸が騒ぎ立てて落ち着かない。さらに、その女性社員が体調不良だということを知って余計に動揺した。

 健康で快適に仕事をしてもらいたいのに、現状それができていないのではないかと思うといたたまれない。

 それになぜか、この子が気になって仕方がない。なにか目立つところがあるわけでもないのに、目が離せない。

 体調不良の原因がゲームだと聞いて、安心する気持ちがある一方、やはりまだ心配は拭えなかった。

 女子社員が出て行ったあとも、頭の中からその子が消えない。

 ちゃんと無事に一人で帰れるのだろうか。

 誰が面倒をみるのだろう、一人暮らしだったら大変だろう。

 自分でも、どうしてそんなことまで心配しているのかわからない。ただ胸の奥がざわついて、放っておけないのだ。

「今日はここまでにしよう」

 ろくに視察もしていないのに切り上げて、急いで着替える。
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