【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

いただいた袋を抱えてテーブルに置く。中のものを一つ一つ取り出して確認した。

　高級スーパーの袋からは、スポーツドリンクに栄養ドリンク。そして美味しそうなお粥やパックに入ったフルーツに、デザートまである。さらに市販の薬や体温計、冷却シート、そして数種類の防犯ブザーが入っていた。

（防犯ブザー、こんなにいる？）

　女性の一人暮らしを心配してのチョイスだと思うけれど、ちょっぴり苦笑いが零れ出る。

　ちょうどお腹が空いてきた時間帯だったのでありがたい。

　社長からいただいた差し入れを食べて、再び眠りについた。


　朝起きるとすっかり良くなっていた。元々ただの寝不足だ。社長に会えないストレスも重なっていたけれど、それも一時的にではあるが解消したので、気持ちもすっきりだ。

　出勤前にシャワーを浴びて、いつもの通勤スタイルに着替える。

　今朝は少し肌寒いので、ウィンドブレーカーを羽織った。

　歩道に出ると、銀杏の香りが鼻腔をくすぐり、街路樹は色づき始めていた。澄んだ秋の空を見上げると、朝の冷気が頬を撫でる。

　家を出て少し歩くと歩道に社長が立っていた。