【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「ところで社長、本部には戻らなくて大丈夫なのですか?」

 私の問いに、社長はとても残念そうな表情を浮かべた。

「実は、午後からは戻らなければいけないのだ。午後も田中さんと一緒にいたかったのだが」

 午後もついてきたらどうしようと思っていたので、少し安心する。

 嬉しい気持ちはあるけれど、周りからの視線がとんでもなく痛い。

 食事を食べ終えると、社長は本部の最上階へと戻っていった。

(つ、疲れた)

 相手は社長なので色々と気を使う。それに、私が有紗の身代わりをしていたことを気付かれてはいけないので余計な緊張もする。幸いにも、身代わりの件は、気づかれることはなさそうだ。

 これだけ一緒にいて話していても大丈夫なのだから、もう気づかれることはないだろう。

 クリーンルームへ戻ると、主任はじめ、同僚のみんなが興味本位で群がるように近付いてきた。

「田中と社長、なにがあったの?」

 同僚に聞かれ、首を傾げる。
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