【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「こういうのは困ります!」

 私の勢いに圧倒された様子で、社長は困惑の表情を浮かべた。

「こういうのとは?」

「待っていられることです。朝も、夜も、ずっと私が出てくるのを待っていましたよね? それに、会社でもずっと私の側にいて。周りの目もありますし、そういうのは本当に困ります!」

 少し怒った口調ではっきり物申すと、社長は驚いた顔をしたあと、気落ちして項垂れた。

「悪かった」

 社長は小さく謝罪を述べると、そのまま踵を返して会社の方向へと歩いていった。

 背中からは哀愁が漂い、『トボトボ』という言葉を具現化しているような歩き方だった。

(あれ、私、言い過ぎちゃったかな?)

 あまりにも社長があっさり引き下がり、とても反省した様子で帰っていったので不安になる。

 社長はそんなに悪いことをしたのだろうか。私が過剰反応しすぎだったのだろうか。いてもたってもいられなくて、社長の後ろ姿を追った。
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