【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
 祐樹からの格言を胸に刻み、相談室を出た。

(デートに誘う)

 彼女をデートに誘うのは二度目だ。彼女は誘いを受けてくれるだろうか。色々失礼なことをしてしまったので、もう嫌われてしまったかもしれない。

『断られたら脈なし』

 祐樹の言葉が重くのしかかる。脈なしだったらどうすればいいのだろう。

 どうすれば好きになってもらえるのだろう。それに、一体どのタイミングでデートに誘えばいい?

 電話は無理だし、メールの連絡先も知らない。待つのも嫌がられているし、偶然に出会うのをひたすら待つのか⁉

 偶然って奇跡みたいなものじゃないのか⁉

 デートに誘うことが、こんなにもハードルの高いものだったとは!

 思案に暮れていると、着信音が鳴ったので携帯を取り出した。

(父さんから? 珍しいな)

『もしもし』

 電話に出ると、父さんはご機嫌な様子で、とんでもないことを言い放った。

『お~貴富。有紗さんとの結婚のことだが、結納が決まったぞ!』

『は?』
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