【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
『は? じゃないだろ、お前が結婚を進めてくれって言っていたから、先方とも話し合って早く結婚できるように動いてやったぞ。もっと喜べ。そして父さんを讃えろ』

 父さんは製薬会社の親会社でもある藤堂寺財閥関連企業の全てを掌握する社長だ。

 とても厳しい父親像を想像されがちだが、実態は能天気で陽気な親父である。

(そういえば、まだ有紗さんが身代わりだったという事実を知らないときに、『どうだった?』と聞かれて『素晴らしい女性だ、ぜひ結婚したい』と言ったような気がする)

 すっかり忘れていた。それどころじゃなかったといったら言い訳になる。

 有紗さんだと思っていた女性は素晴らしいし、ぜひ結婚したいと今でも思っている。

 けれど、この状況を説明するのはなかなか難しい。

『いや、そのことなのだけど……』

『今さら結婚を白紙にすることはできないからな! 先方のご自宅にも挨拶に行ったのだろう? とにかくこっちはもう関係各所に結婚するって言ってしまったし、喧嘩したなら仲直りしろ!』
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