【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
『喧嘩じゃなくて、それより関係各所に言ったってどこに?』

『母さんも大喜びで、親戚中に電話したし、俺も会う人、会う人みんなに貴富が結婚するって言ってしまったよ』

 頭が痛くて、こめかみを抑えながら目を閉じる。

(最悪だ、最悪の展開だ)

『向こうはその気はないみたいだよ』

 本当の有紗さんの顔を思い出す。俺と結婚なんて死んでも嫌だって言いそうなくらい気が強い女性だ。俺だってお断りだ。

『そんなことない。東雲家は大賛成だそうだ。それに東雲家にしても、藤堂寺と結婚しなければいけない理由もある。経営上の理由だが、そこに関して貴富は知らなくていい。とにかく、東雲家がこの縁談を断るはずがないのだ』

 なんとなく、とても厄介そうな話だ。そもそもこのお見合いも何度断っても断り切れなかった。結婚は既定路線のように進んでいたことを思い出す。

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