【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

（フルリノベーションしたのかな？ 材質がうちのアパートより高級そうに見える）

　私が住んでいるアパートは、どこにでもあるいたって普通のアパートだ。社長はセキュリティが甘いと心配していたけれど、一般的に名の知れたデベロッパーが施行したアパートなので貧乏学生が住んでいるような所ではない。

　それなのにうちのアパートよりも頑丈そうなのはどういうことだ。見た目とのあまりの違いに困惑する。

「すみません、狭いし何もない家で」

　悠斗君は恐縮しながら部屋へと案内する。

（１LDKか。うちは１DKだから、うちより広いな）

　売れない漫画化と聞いていたので、もっと小汚くて狭い家を想像していた。

　リビングに入ると、ソファで寝ていた有紗が物音に気づいて起き上がった。

「芳美……」

　泣き腫らしたらしい有紗の膨張した目から、涙がみるみるうちに溢れてくる。

「芳美～！」

　駆け寄ってきて、私に抱きつく有紗。頭を優しく撫でて、泣きじゃくる有紗をなだめる。

「どうしたの、なにがあったの」

「ごめん芳美。私、芳美の好きな人と結婚することになった」