【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「え?」

 予想もしてなかった言葉に固まる。私の好きな人って社長のこと?

「こんなのってないよね。私、大切な人を全て失うことになる。もう死んじゃいたい」

 そう言って有紗は声を上げて泣いた。

 どういうことなのかわからなくて悠斗君を見ると、悠斗君は深刻そうな顔で俯いていた。

「だって社長は、結婚する気ないって言っていたのに」

 身体が震える。親友と好きな人が結婚?

「私だって結婚する気はないって言ったのよ⁉ でも、私が結婚しないと店が潰れるって。多くの従業員の生活がかかっているって」

 有紗はしゃくりあげながら一生懸命に説明を続ける。

「どっちに転んでも地獄なの。私が結婚を拒否したら、両親と従業員が路頭に迷うし、私が結婚したら悠斗と芳美を傷つける。もう私、死んで逃げたい。でもそんなことしたら、誰も救えない」

 有紗の背負った重圧があまりにも残酷すぎて言葉を失った。
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