【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
　家柄的に、ないなと思って、適当に遊んですぐに捨てられるのならば、有紗の言う通り最初から付き合わない方がいい。

　私と社長の出会いは規則外だった。本当に結ばれるべきは有紗とだったのだ。

「もうすぐ終電の時間だ。どうしますか？」

　悠斗君が時計を見て言った。

「今日は帰るよ。またどうするか考えよう」

「じゃあ、夜も遅いので駅まで送ります」

　悠斗君に悪いので断るも、有紗からも強く言われたので送ってもらうことにした。

　悠斗君と二人で夜道を萎れながら歩く。

　好きな人が結婚してしまう者同士、妙な親近感があった。

「俺、漫画の連載が決まりました」

　悠斗君は抑揚のない声で呟いた。

「ええ～！ 凄い！ おめでとう」

　漫画家はデビューしたとしても、食べていけるのは一握りだと聞いたことがある。

　デビューするだけでも熾烈な争いの中から勝ち取ったのに、さらにまたプロ同士の争いが待っている。

　成功するかどうかもわからないのに、努力を続けてきた悠斗君を素直に尊敬する。
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