ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
  社長との結婚を選ばなければ、私は今のまま普通に暮らしていける。それも悪くない。今の生活に大きな不満などなかったのだから。

 でも、踏み出したい気持ちもあるのだ。大好きな社長との間に子どもを作って結婚する。順番は逆だけれど、得られる幸せは一緒だ。

 でもその幸せがずっと続く保証はないし、これからどんな困難が待っているかわからない。最悪、シングルマザーになる可能性だってある。

 これは賭けだ。人生を懸けたギャンブルだ。

「俺は、やる価値があると思う研究は、どんなリスクがあろうともやり遂げる。この会社だってそうだ。経営が傾いていた製薬会社を買収したが、勝算があったわけじゃない。むしろ周りからはだいぶ止められた。けっこうな私財を投入したが、それだけでは足りず、お金を借りている。失敗したら大変なことになる可能性があったが、反対を押し切って断行した。それだけの価値がこの会社にあると思ったからだ。もしも失敗したとしても後悔しない自信があった」
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