【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
『私、あなたの子どもを産みます』

 なんて大それたことを言っておきながら、緊張で足が震える。

 私はとんでもない決断をしてしまったということを今さらながら実感する。

 疲れたので、ウーバーイーツでお蕎麦を注文して家で食べることになった。

 引っ越し蕎麦を二人で啜る。なんだか新婚みたいだ。

「田中さんと一緒にこれから生活を共にできるなんて夢のようだな」

 社長はとても幸せそうな顔をして満足気に言った。心の底からそう思っている様子が伝わってきたので、社長の好みって変わっているのだなと思った。

「ああ、そうだ。もう、田中さんって呼ぶのもおかしいな。芳美でいいか?」

 社長はやけに饒舌だった。

 たしかに私も社長と呼ぶのはおかしい。でも、今まで社長と田中さんで呼び合っていたような関係なのに、いきなり同棲とは、色々なものを吹っ飛ばしている気がする。
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