【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
  社長には全然気づかれていないようだし、お見合いも断ってもらったし、これで一件落着。

 まあ、そもそも社長は私の顔なんて知らないだろうしね。

 知っているのは私だけ。遠くからずっと見ていた。

 社長は私にとって憧れの人。恋というか、推しに近いような遠くからこっそり眺めているだけで幸せな気持ちになれる存在だ。

 個室に戻ると、社長も肩の荷がおりたのか、私の顔を見て自然に笑顔を浮かべたので、私も笑顔を返す。

 最初は重苦しい空気だったけれど、すっかり和やかな雰囲気だ。

「仕事、大丈夫ですか?」

「はい、もう解決しました」

「そうですか、良かった。お見合いではなくなりましたが、せっかくなので一緒に食事しませんか?」

「はい、もったいないので私一人でも平らげてから帰るつもりでした」

 私の言葉に社長は笑いを吹き出した。

 ああ、目の前であの社長が笑っている、尊い。
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