【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
 なにも初めてというわけではない。大丈夫、きっと貴富さんがどうにかしてくれる。

 それにしても、ここ数日の落差が激しすぎる。

 もう二度と貴富さんとは会えないのだと思っていたのに、会社で頻繁に会うようになって、親友と結婚してしまうと胸が焼けるほど苦しくなったところからの、授かり婚計画。

 ジェットコースターみたいに感情の起伏が激しくて、なおかつ環境までも大きく変わった。

 平穏な毎日を捨てて、波乱万丈な人生のスタートだ。

「そろそろ、寝室に行かないか?」

(きた!)

 お風呂上りの貴富さんは、流れるような前髪がいつもよりも幼く見える。

 顔立ちが陶器のように整っていて、身長も高く適度に筋肉もついている。

「はい……」

 顔を赤く染めながら、しずしずと貴富さんの後ろについていく。

 新婚初夜ってこんなかんじなのだろうか。布団の上で正座をして、互いに向き合いながら、『それでは宜しくお願いします』と頭を下げるのだろうか。
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