【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜

クリーンルームで作業していると、続々と同僚たちが入ってきた。若干よそよそしいかんじがして気まずい。そんな中、いつもと変わらない態度の人が一人。

「おい田中、お前も女だったんだな」

　主任だ。いつもと変わらない態度だけれど、言っている内容は最低だ。

「その言葉、セクハラですよ」

「違うよ、女って変わるよなって意味だよ。うちの嫁さんも結婚前は可愛くて俺にベタ惚れだったのに、今じゃ同一人物とは思えないほどの鬼嫁に変貌している。子ども第一、俺奴隷よ？ 酷くない？」

「亭主関白な家より、妻に尻に敷かれる家庭の方が仲良しだっていうじゃないですか」

「でも容姿も変わっていくし、性格も変わったら、俺は誰と結婚したのだろうって思わない？」

　いや、そんなこと言われても。なんで私は主任の愚痴を聞いているのだろう。

「奥さんのこと愛していないのですか？」

「いや、大好きだよ。今の嫁も大好きだけどさ」

　周りから「ヒュー」と茶化されて主任は少し照れくさそうだ。