【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
完璧で近寄り難い雰囲気だった貴富さんが、人間味溢れる所があると思われて、社員からきさくに挨拶されるような存在になった。

 不安なことも多かったけれど、案外順調に楽しく日々を過ごしている。

 しかしながら、平和で順調な日々は長くは続かなかった。いや、これもある意味、順調なのか。

 できちゃった結婚をするための計画的な妊活生活。まさかの三ヶ月も経たないうちに終止符を打った。

「貴富さん、お話があります」

 会社から帰ってきたばかりの貴富さんを玄関まで迎えに行き、真剣な眼差しで告げた。

 ご機嫌な様子だった貴富さんの顔は、一瞬で凍りついた。

「わかった。すぐに行く」

 と言って、貴富さんは鞄とジャケットを置きに寝室へ行った。

その間私は、ダイニングテーブルの椅子に座り貴富さんを待っていた。

ただならぬ緊迫した雰囲気のリビングに貴富さんが入ってくる。私の前の席に貴富さんも座り、真剣な面持ちで向かい合った。
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