【改稿版】身代わりお見合い婚〜溺愛社長と子作りミッション〜
「いいえ、とんでもないです。それにまだこれからですから」

 お腹をさすって言った。まだまだ安定期にはほど遠い。それでも、宿った命に感動が湧き上がる。

「俺は、世界で一番幸せな男だ」

 貴富さんは顔が蕩けそうなくらい幸せそうに、言葉を零した。

 同棲からわずか二ヶ月たらずで妊娠した。この幸運に感謝する。

「こうなれば、一刻も早く俺の両親に伝えましょう。芳美さんのご両親には先日ご挨拶し、了承をいただけましたからね」

 そうなのだ、同棲するにあたって、貴富さんは私の両親に土下座して謝罪したのだ。

 うちの両親もびっくりしていたけれど、隣にいた私も心臓が止まるかと思うほど驚いた。結婚の挨拶だと思っていたのに謝罪から入ったのだから。
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